◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇杉並消防防災マガジン【Vol.39(2008.9.1)】◆◇◆◇
〜皆さんこんにちは、杉並消防防災マガジンです〜
杉並消防署 電話番号 03−3393−0119
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◎ 杉並消防署からのお知らせ
防火管理技能者制度の導入及び自衛消防組織の機能強化
〜火災予防条例の一部改正から1年〜
東京における防火対象物(建築物)は、容積率の緩和等により大規模化・超高層化が進むとともに、国際化、IT化を背景に管理・営業形態の複雑化、多様化が進展しています。そのため、防火管理業務は量的に増大し質的に複雑化、高度・専門化しています。さらに、近年発生している防火対象物における火災以外の災害等にも迅速かつ的確に対応する必要があります。
これらのことから、防火管理技能者制度の導入や自衛消防活動体制の強化を図るため、火災予防条例及び火災予防条例施行規則の一部が改正され、平成19年10月1日に施行されてから間もなく1年が経過します。
改めて、火災予防条例等の改正要点を確認しておきましょう。
(1) 防火管理技能者制度
大規模・複合防火対象物においては、多数のテナントの入居や消防・防災設備が高度にシステム化されるとともに、建築構造、防火設備、避難施設等も性能設計や新技術の採用などにより防火管理業務の増大と複雑化、高度・専門化が進んでいます。
これらのことから、防火管理者の業務を補助するため、防火管理に関する高度・専門的な知識・技能を有する防火管理技能者制度(図1)が導入されました(火災予防条例第55条の3の2)。
図1 防火管理技能者制度概要図
ア 防火管理技能者の選任が必要となる防火対象物
消防法第8条に定める防火管理者の選任義務のある防火対象物で、次に該当するものに防火管理技能者の選任が必要となります。
@
消防法施行令(以下「令」と記載します)別表第1(1)項から(4)項まで、(5)項イ、(6)項,(9)項イ及び(16)項イに掲げる防火対象物で、次のいづれかのもの A.地階を除く階数が11以上で延べ面積が1万平方メートル以上のもの B.地階を除く階数が5以上で延べ面積が2万平方メートル以上のもの A
令別表第1(16の2)項に掲げる防火対象物で、延べ面積が1万平方メートル以上のもの B
令別表第1(5)項ロ、(7)項、(8)項、(9)項ロ、(10)項から(15)項まで及び(16)項ロに掲げる防火対象物で、次のいづれかのもの A.地階を除く階数が15以上で延べ面積が3万平方メートル以上のもの B.地階を除く階数が11以上で延べ面積が1万平方メートル以上のもののうち消防法施行規則第3条第10項に規定する防災センターが設置されているもの C
前@〜Bに掲げる防火対象物以外の令別表第1に掲げる防火対象物で、延べ面積が5万平方メートル以上のもの (火災予防条例施行規則第55条の3の2第1項)
イ 防火管理技能者が実施する防火管理業務の補助の内容
防火管理技能者は、防火管理者・統括防火管理者の指示と、法令等の規定や消防計画・防火管理業務計画等に基づき、次の業務の補助を実施します。
@ 自衛消防の組織の編成に関すること。 A
防火対象物の火災予防上の自主検査に関すること。 B
消防用設備等又は特殊消防用設備等の点検及び整備に関すること。 C避難通路、避難口、安全区画、防煙区画その他の避難施設の維持管理及びその案内に関すること。 D
防火壁、内装その他の防火上の構造の維持管理に関すること。 E
定員の遵守その他収容人員の適正化に関すること。 F
防火上必要な教育に関すること。 G火災、地震その他の災害が発生した場合の防火対象物における初期消火、通報連絡、避難誘導、消防隊への情報提供その他の自衛消防の活動(以下「自衛消防活動」という。)に関すること。 H
自衛消防活動に係る訓練の実施に関すること。 I
防火管理についての消防機関との連絡に関すること。 J増築、改築、移転、修繕又は模様替えの工事中の防火対象物における立会いその他火気の使用又は取扱いの監督に関すること。 K
消防計画の作成及び変更並びに共同防火管理協議事項の作成及び変更に関すること。 L
その他防火管理上必要な事項に関すること。 (火災予防条例第11条の4の4)
※ 防火管理技能講習修了者は、防火管理業務の一部受託者の教育担当者講習を修了したものとみなすことができます。
(2) 自衛消防組織の編成と訓練
(3) 自衛消防活動中核要員
火災予防条例第55条の5に規定される一定規模以上の防火対象物の管理権原者は、自衛消防技術認定証を有する者のうちから自衛消防活動の中核となる要員(自衛消防活動中核要員)を図2のように当該防火対象物の本部(防災センター又はこれに準ずる場所)及び担当区域(“棟”、“階”等で定める区域)に配置する必要があります(火災予防条例第55条の5、火災予防条例施行規則第11条の5)。
(4)
防火管理技能講習
防火管理義務対象物のうち、前(1)アに示す一定規模以上の防火対象物においては、防火管理技能者を定めて、防火管理者の業務の補助を適切かつ効果的に行わなければならないとされました。
このことから、防火管理実務のスペシャリストとして、これらの業務を遂行するため、より専門的な知識・技能を習得していただくことを目的に、財団法人東京防災指導協会が東京都知事登録講習機関として、防火管理技能講習を実施しています。
講習日程及び会場等
(5)
事業所の地震想定訓練
■ 地震火災想定訓練の実施
事業所防災計画又は消防計画に基づき、出火防止、情報収集・伝達、初期消火、救出・救護等発災時の初動対応について、総合的な訓練を実施しましょう。
地震火災想定訓練(参考例)
実施項目 |
実施内容 |
想定 |
|
身体防護 |
落下物等から身体を守る措置行動を行う。 |
出火防止措置 |
· ガスの元栓閉鎖 · 液体燃料供給の遮断 · 電源の遮断 · 危険物の流出、漏えい防止の措置 |
被害状況の把握 |
各地区隊は、建物内の被害状況、活動状況を自衛消防隊本部に報告する。 |
情報収集と伝達 |
テレビ、ラジオ等を活用し、発生した地震の概要、交通機関の運行停止状況など、正確な情報の収集に努め、適宜在館者に伝達する。 |
エレベーター 閉じ込めの確認 |
·
閉じ込められた人がいないか確認する。 ·
停止場所、閉じ込められた人数、けがの有無等を確認した後、エレベーター管理会社へ 連絡する。 ·
行った措置を閉じ込められた人に伝える。 |
消防機関への通報 |
内線電話等を使って消防機関への通報要領を確認する。 |
館内への連絡 |
館内の自衛消防隊員に災害の状況等を連絡する。 |
火災発生場所 の確認 |
出火場所に至って、現場の状況を確認し、自衛消防隊長に報告する。 |
初期消火 |
·
消火器具の搬送、操作を行う。 ·
屋内消火栓設備等で消火活動の操作を行う。 |
避難誘導等 |
·
放送設備等を活用して、避難経路、使用する階段を具体的に指示する。 ·
避難経路に誘導員を配置し、避難を誘導する。 |
救出・救護 |
·
オフィス家具類の転倒又は建物の倒壊により下敷きになった者や脱出できない者の救 出要領を確認する。 ·
自己事業所で保有している、救出に使用できるバール等の資器材等を活用した救出措 置を行う。 ·
救護所等を設置し、救出者等の救護を行う。 |
■ 事業所と地域住民の連携
大きな地震が発生した場合には、事業所と地域住民が連携して活動することも重要となります。消火活動や救出・救護活動などで、互いに協力する体制を事前に作り、定期的に共同で訓練を行うことで、地震発生時にもスムーズな連携を図ることができます。
地震発生時や訓練に限らず、日頃から事業所が、地域の様々な活動・行事に参加・協力することは、地域社会への貢献にもつながり、事業所にとっても地域住民にとっても大きなメリットがあります。
日頃から様々な機会をとらえて、地域社会との交流を図っておくとよいでしょう。ポイントは次のとおりです。
災害情報(杉並消防署管内 9月30日現在)
火災件数 : 94件(昨年同時期比 −1件)
救急出場件数: 13,151件(昨年同時期比 −1,135件)
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